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最近でこそ
ほとんどやらなくなりましたが

化粧の丸太梁を使い始めた頃は
丸太の皮の剥き方を説明するために
よく加工場まで出向いて
作業をしました

つるんと
曲面なりに剥いてしまうのではなく
面が5つくらいに分かれるように
プレーナーという
電動のカンナで削ってゆきます

本来は手斧(ちょうな)や
槍鉋(やりがんな)といった
今はほとんど使われない道具でやるのでしょうが
そんなものは扱えるはずがありません

しかし、このプレーナーなら
私でもそれなりに使えます

コツは
同じ場所を何度も削らないこと
上手くいかなかったからといって
やればやるほど
角が無くなって
甘くなってしまいます

削り始めはかなり緊張しますが
思い切って
えいやあっ!と
一息に削ります

面が残るように仕上げると
角が立ってシャープな印象になります

杉ではなく
もっと堅い材質の木の方が
デザイン的に合うのかもしれませんが
これはこれで・・・

こんなカンジに仕上がりました

最近では
メーカーの流し台は引出し(抽斗)式の
収納が主流になりました

一方、ステンレスで製作する場合は
コストの関係もあり
下部をオープンにします

どちらが良いのかは
使う方によるとは思いますが
メーカーのものは
ちょっと綺麗すぎるかな?
と感じます

キッチンでの作業は
使い勝手が一番大切です
もちろん収納量も大切ですが
出し入れが簡単にできる収納が重宝します

メーカーのものでも
シンクの下などは
生ゴミのためのゴミ箱を置けるように
オープンにした方が便利です

その他にも
鍋やフライパン
それらのフタ
ザルやまな板
軽量カップや
レードルや菜箸
はかりやおろしがね
スライサーなどなど

これらは使いたい時に
汚れたり濡れたりした手でも
簡単に出せるといいですよね

そのくせ
フライパンや鍋は
用が済めば邪魔者
場所をとるので
早くどこかに行って欲しい

そんなことから
出し入れの簡単な引出しを
作ってみました

ステンレス製なので
それなりに頑丈です

指一本で引っ張り出せるし
ひと目で
どこに何があるかわかるので
結構便利です

引出しほど
精度が要求されないので
大工さんに取り付けてもらえばOK

いかがでしょう


照明の打合せ時に
「暗くないですか?」と
聞かれることがあります

暗いところもありますが
必要なところは
充分な明るさがあります
とお答えすることにしています

照明計画というと
暗いところがないように
器具を配置してゆくことと
思われている方も多いようです

たしかに
オフィスや作業場は
暗いところがないように
照明をレイアウトしてゆく・・・

しかし
住宅の場合は逆です
明るいところと
少し暗いところができる

ムラになるのが自然なのです

よく昼のように明るいといいますが
屋外の明暗の差はとても大きいのです
写真の露出に注意すると
よくわかるはずです

また、明暗を感じるのも対比に影響されます
同じ照明でも
陽が落ちる前と
落ち切った後では
感じ方は全く異なります

照明器具メーカーのショールームでは
計画した照度を体験できるところもあります

しかしショールーム自体が明るいので
計画したものが暗く感じることもあります

体験後に「ちょっと暗い」といったら
メーカーから提案されましたと
施主の方から見せられた
プランニングシートを見て
ビックリしました
我々の感覚からすると
冗談でやっているのかと思うくらい
照明器具だらけなのです

まあ、クレームは嫌ですから
明るすぎれば消しておけばよい
といったところでしょうか
あるいは、
いろいろなシュチュエーションに
対応できますといったところでしょうか

しかし
イニシャルコストも
ランニングコストもかかるのです
LEDのおかげで
電球交換からは解放されそうですが
器具だって使っていれば汚れます
メーカーの担当者はそのあたりを
どう考えているのでしょうか

何よりも妙なデザインの照明器具が
いたるところで目につくのは
大変見苦しい

納得いただけるまで説明はしますが
ある程度感覚的な要素もあるので
無理強いはしません

戦中戦後を体験された方は
暗い=不安、貧しさをイメージされます
それを「今はこういうものです!」
とは言えませんよね

「明暗のタペストリー」
「灯り溜まり」と言った言葉があります

人には向日性があり
明るい場所には領域ができ
行為が生まれる・・・

美しい言葉ですよね

ダイニングテーブルには
ちょっと低めに
充分な明るさのペンダントを吊るします

周囲をちょっと暗めにすると
テーブルの場所自体が
灯りのかたまりになります
そこには行為が生まれ
お互いの親密度は増します

ちょっと寒くなってきたこの季節
夕暮れには暖かい灯りが
恋しくなるはずです

ノモトホームズの展示場の近くに
ちょっと気になる塀があります

人目を引く訳でもないのですが・・・
何となくセンスの良さを感じます

コンクリートのフレームと
杉板と
生垣の組み合わせ

コンクリートブロックと
アルミフェンスより
はるかに良いですよね

コンクリートのフレームの中に
横に渡した一本の角材が
非常に効いています

杉板も
笠木を付けずに
スパッと切りっぱなしにしているのが
シャープな印象です

何も塗っていないのでしょうが
良い色に経年変化しています

実はこれ

万年塀というのですが
工場などによく使われます

長い距離を囲う必要がある場合に
安価であることから
よく使われます

ただ
ご覧のとおり
どうしようもなく
殺風景なんです

それが
ちょっとした工夫で
全く別物になるのですね

こういう物を見つけるたびに
まだまだ工夫の余地はあるなぁ・・・と
自分の未熟さを
思い知らされます

※「チルチンびと」最新号より
同世代のお二人と一緒に
一年ほど文章を書かせていただく
ことになりました
御一読いただければ幸いです

お酒の話じゃありません(笑)
杉の床板の話です

今でこそ良く使われますが
合板のフローリング全盛のころ
無垢のフローリングといえば
ナラや桧が一般的でした

杉なんて柔らかくて
床板には向かない(商品として)と

20年ほど前
秋田の山奥の製材所の方に
勧められて初めて使いました

無垢のフローリングといえば
巾は10センチ程度で
厚みは1.5センチ程度が普通ですが
その杉の床板は
巾が22センチ
厚みが2.4センチもあり
張ったときの迫力といったら
圧巻でした

ご存じのとおり
傷がつきやすいのが難ですが
桧や松だってそれほど堅くはありません

それよりも
裸足で生活したり
時には床に座ったり
寝っ転がったりする
日本人の生活スタイルには
温かみがあって
柔らかで
さらっとした肌触りの
杉の感触はぴったりだと思うのです

心配なのは
20年30年と時を経たときに
どのようになっているのか・・・

建物が完成した際に
手入れの方法を聞かれ
「えー、時々自然系のワックスを・・・」
程度の事しか答えられないのは
経年変化の状態を
完全に把握していないから
先日17年ほど前に竣工した建物に
お邪魔する機会がありました

夏目の部分(白い部分)がすり減って
冬目の部分(赤黒い木目)が浮き上がり
浮づくりのようになっています

良い感じです

アップで見ると

完成から数年後に
お訪ねすると
ほとんどの方が
「いや~全く手入れしていなくて・・・」と
照れくさそうにおっしゃいます

完成時にメモを執りながら
熱心に質問されていた方でも
ほぼメンテナンスフリーです(笑)

写真のお宅も同じ使用状況ですが
それでいいじゃありませんか
工芸品じゃないんだから

部分写真だけをアップで見ると
ちょっと汚く見えるかもしれませんが
全体を見ると
全然印象は違います

当然他の部分も古くなっている訳ですから
当然ですね

何よりも
合板では絶対に味わえない
時の重みというか厚みというか・・・
思わず手で表面を撫ぜました

人間もかくありたいものですね