11年前、泉幸甫氏と伊藤誠康氏が設計した、中央区にある「apartment十三」の修繕工事を、管理会社からの依頼を受けて行いました。今回は入居者が退去したタイミングで、壁や床を中心に手を入れています。床は無垢材で仕上げられており、今回はサンダーを掛けて表面を整えたうえで、オイル塗装によって仕上げ直します。年月を重ねた無垢材に再び手を入れることで、素材本来の風合いを生かしながら、次の入居者へ引き継いでいきます。

この建物は、自然素材を積極的に取り入れ、できるだけ多くの緑を植えるなど、一般的な賃貸アパートとは少し違った考え方でつくられています。住む人の心地よさや、時間とともに味わいが増していく素材の魅力を大切にした、個性的でよく考えられた物件です。

また、建物としての魅力だけでなく、賃貸物件としての運営面でも非常によくできています。銀行から15年の融資を受けており、現在は残り5年ほどで完済を迎える予定です。入居率も良く、退去があっても比較的早く次の入居者が決まるという状況が続いています。

今回の修繕工事を通して改めて感じたのは、10年という時間が経っても、この建物の持つ魅力が色あせていないということです。自然素材、緑、設計の工夫、そして安定した賃貸経営。その一つひとつがうまく組み合わさっており、改めて「よくできた物件だな」と感じました。

野本 一隆

野本 一隆

KAZUTAKA NOMOTO

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