昨日、衝撃的なニュースが舞い込みました。大手ハウスメーカーである大和ハウス工業が、新築一戸建て住宅事業について大きな方針転換を発表。新潟を含む23道県から新築事業を撤退し、2027年4月をめどに東京や大阪など都市圏に営業機能を集約するという内容です。今、住宅業界がざわついています。
注文住宅の販売価格も「5,000万円以上」に限定するとのことで、資材費や人件費の高騰が続くこの時代に、採算の取れる地域や価格帯に経営資源を絞り込む狙いがあるとのことでした。
一方で、リフォームや賃貸管理といったストック事業は強化する方針とのことなので、会社方針として「新築」から「高価格帯・ストック収益」へと軸足を移している、という理解が近いのではないかと思っています。
なぜ大手ハウスメーカーは新築を絞り込むのか?
理由として報じられているのは、資材費・人件費の高騰と(大手ハウスメーカーならなおさらです)、人口減少による戸建て着工戸数の長期的な減少です。
全国均一のサービス網を維持しながら建てる仕組みは、地方の需要が細っていくなかで、コストに見合わなくなってきている、ということなのだろうと思います。
他の要因としてありそうなのが、断熱性能や気密性能の重要性が一般化してきた中で(今や木造の住宅会社であれば高気密・高断熱は実現可能)、鉄骨系の住宅が断熱性能・気密性能で劣っていることが様々なメディアやSNSで露見し、戦いにくくなってきているのではないかということです。
普通に考えて、鉄骨造の住宅って断熱性能を上げるのも気密を取るのも厳しいですよね。。。
「型式適合認定」という仕組みについて
大手ハウスメーカーの住宅の多くは、型式適合認定という制度を使って住宅を建てています。
これは工場生産された部材や工法をあらかじめ国の認定を受けておくことで、現場ごとの構造計算を省略できる仕組みです。効率的に品質を保つための制度ですが、その分、認定を受けた仕様以外への変更や、他の工務店による大規模なリフォームが難しくなる、というデメリットもあります。
壁紙の張り替えのような簡単な工事は問題なくできるのですが、間取りや構造に関わる部分は建てた会社以外では手手がだせません。
例えば私の実家は型式適合認定を使って建てるS社。
もう10年程前ですが、当時父が外壁の塗装や浴室リフォーム、雨戸の交換でS社に見積を取ったところ、超高額な見積が届き、驚いて私に連絡をよこしたことがありました。工務店勤務の私では考えられないくらいの金額に驚きました。
外壁塗装や雨戸交換くらいであれば型式認定も不要で(準防火地域等は別として)地域の建設業者でも施工可能なので安いところにお願いしたそうですが、浴室に関しては作り方があまりにも特殊すぎて地域の工務店では施工不可。もちろんS社の出した見積が高すぎて予算的に断念しました。
かれこれ35年程前に建てられた家なので、断熱性能も低く、和歌山とは言え冬場の浴室は極寒です。
ヒートショックが起きないように脱衣室でヒーターを焚いているそうですが、心配ですよね。在来木造の住宅であれば、安くいかようにでもリフォームできたのに、と思います。
地域の工務店という選択肢
私、新潟で地域の木材や自然素材を使った家づくりをしている工務店設計者です。
ポジショントークにはなりますが、大手ハウスメーカーのブランド力や保証体制には、もちろん大手ならではの安心感があります。
ただ、今回のようなニュースを見ると、例え大手ハウスメーカーでも撤退することもあるし、建てた後のメンテナンスやリフォームのしやすさ、費用の事などを考えると、工務店の方がお得なのに・・・と思わずにいられません。
もちろん、高額なハウスメーカーの坪単価の中身を考えると、実直に誠実に家づくりに取り組んでいる地域の工務店の方が・・・と思ってしまいます。家づくりをお考えの方は、ぜひご一考いただければと思います。
