先日、夏場に壁の中で起きる結露(夏型結露)の話を書きましたが、今回はもう少し「暮らし方」に近い視点で、夏の湿気対策について書きたいと思います。湿度について、換気方式の違い、エアコンの運転方式、それからエアコンの選び方についてです。

相対湿度と絶対湿度の違い
最初に大事なことをお伝えしますと、湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」の2つあるということです。
相対湿度は、その気温で空気が含むことができる最大水分量に対して、実際にどれくらいの水分が含まれているかの割合です。つまり、同じ水分量でも気温が変われば数値が変わります。
たとえば涼しい部屋では相対湿度が70%と表示されていても、気温そのものが低ければ空気中の水分の絶対量は少なく、蒸し暑さとしてはさほど感じないことがあります。逆に気温が高い部屋では、相対湿度の数値がそこまで高くなくても、空気中の水分の絶対量は多く、蒸し暑く感じることがあります。
これに対して絶対湿度は、空気1立方メートルあたりに含まれる水蒸気の量(g/㎥など)を示す数値で、気温に左右されません。蒸し暑さの感じ方や、エアコンがどれだけ除湿する必要があるかといった実務的な判断は、相対湿度よりも絶対湿度で見たほうが実態に近いと考えています。
なので、湿度についてお話しするときは、単に「湿度何%」という相対湿度の数値だけでなく、気温とセットで、できれば絶対湿度も含めて確認していただくのがおすすめです。最近は絶対湿度も表示できる温湿度計がありますので、気になる方はそうした機器を使っていただくと、体感とのズレが少なくなると思います。
第一種換気と第三種換気、湿度の面での違い
換気方式には第一種換気と第三種換気があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
第三種換気は、給気は自然給気(壁の給気口から)、排気は機械で行う方式です。
仕組みがシンプルでコストを抑えやすいのがメリットなのですが、給気口から入ってくる外気は基本的にそのままの状態になります。
夏場、外の湿度が高いときはその湿った空気がそのまま室内に入ってくるので、ジメジメとした感覚につながりやすいというデメリットがあります。
第一種換気は、給気・排気の両方を機械で行う方式です。
私たちは熱交換型を採用することが多く、外気と室内の空気の温度・湿度をある程度交換しながら給気できるのが特徴です。夏であれば、外の高温多湿な空気をそのまま室内に入れるのではなく、ある程度緩和した状態で取り込めるので、第三種換気に比べると湿度のコントロールという点では有利になります。
一方、イニシャルコストがかかることや、熱交換素子・フィルターの定期的なメンテナンスが必要になる点は、第三種換気に比べて少し手間がかかります。
ちなみに、少しマニアックなお話になりますが、、、第一種換気の熱交換型のなかでも、温度だけを交換する「顕熱交換型」と、温度に加えて湿度も交換する「全熱交換型」があります。
顕熱交換型は温度は緩和できても湿気はそのまま室内に入ってきてしまうので、夏場の湿度対策という意味では効果が限定的となります。
一方でノモトホームズが標準で採用しているマーベックスの澄家(sumika)は全熱交換型で、床下に機器を設置するタイプですが、給気を全熱交換してから室内に取り込むので、外気の湿度変化の影響を受けにくく、室内の湿度が安定しやすいというメリットになります。
一種と三種、どちらが正解ということではなく、コストとメンテナンスの手間、求める快適性のバランスで選んでいただくものだと思っています。
エアコンの運転モードと除湿の関係
エアコンはそもそも、運転モードによって除湿の効き方が違います。
冷房運転は、除湿もされています。室内機の熱交換器を冷やして空気を通す際、熱交換器の表面温度が露点温度より低くなると、空気中の水蒸気がそこで結露して水になります。冷やす過程で自然と除湿もされている、という仕組みです。
ドライ(除湿)運転は、冷房よりも除湿を優先した運転で、大きく二つの方式があります。
ひとつは風量を絞ってゆっくり空気を通す「弱冷房除湿」で、除湿効果は高まりますが室温もある程度下がります。もうひとつが「再熱除湿」で、冷やして除湿した空気を再度あたためてから吹き出すため、室温を下げすぎずに湿度だけ下げられます。
梅雨時期、部屋の室温が下がって寒く、しかもジメジメしている・・・という状況を緩和するのが、再熱除湿型です。
暖房運転は、除湿はしません。熱交換器側が室内より高温になっているので、露点以下に冷える面がなく、結露して水分が取り除かれる仕組みが働かないためです。ただし空気をあたためると、空気中の水分量自体は変わらないまま「その温度で含み得る最大水分量」が増えるので、相対湿度(体感の湿度)は下がります。
冬に暖房で乾燥を感じるのは、この相対湿度の低下と、計画換気で乾いた外気に少しずつ入れ替わっていくことが重なって起きています。
夏場の湿気対策としては、冷房かドライ(できれば再熱除湿)を使うことが基本になり、暖房運転には除湿効果がないという点は覚えておいていただくとよいと思います。
カラッと過ごすための工夫
換気方式やエアコンの運転方法の特徴を知った上で、日々の暮らし方でもいくつか工夫できる点があります。
①エアコンは温度より除湿を優先する
蒸し暑さの原因は気温だけでなく湿度の影響も大きいので、部屋を冷やしすぎるより除湿を優先したほうが体感は快適になりやすいです。
②サーキュレーターで空気を循環させる
冷たい空気は下に溜まりやすいので、家の中の空気を動かしてあげると温度・湿度のムラが減ります。
③換気風量とエアコンの設定をチューニングしていく
夏場、換気量を増やすと湿気をたくさん含んだ外気を取り込みやすくなります。
敷地の周辺環境による影響を受けやすいため、暮らしながら換気風量を調整したり、エアコンのリモコンで設定をいじってみたりと、暮らし方のチューニングが必要になります。
再熱除湿エアコンという選択肢
ここ数年、新潟でも夏の蒸し暑さが厳しくなっていると感じています。今後も気候変動が進み、間違いなく日本の夏は蒸暑化していきます。亜熱帯化していくことも方々で言われています。
そこで最近おすすめすることが増えているのが、前述の再熱除湿方式のエアコンです。福本君の自宅にも再熱除湿型のエアコンが導入され、暮らしぶりを福本君にヒアリングすると、除湿効果は一般のエアコンに比べて効果的だそうです。
三菱電機の霧ヶ峰JXVシリーズは、この再熱除湿の機能(「さらっと除湿冷房」という名称です)を搭載しているモデルで、室温を下げにくいのが特徴です。冷やしすぎず湿度だけ下げたいという方には、選択肢のひとつとしておすすめしたいと思っています。
夏の湿気対策は、換気方式の選択、そして設備の使い方まで、いろいろな要素が組み合わさって効いてきます。
どれか一つだけを頑張るのではなく、家全体としてバランスよく考えていくことが大切だと思っています。