ノモトホームズでは、内装仕上げの標準仕様を漆喰にしています。特に竹尾モデルハウスができた2005年以降、かれこれ20年以上にわたり漆喰を使い続けてきました。

しかも、既調合漆喰(市販品であらかじめ調合されたもの)は使用せず、消石灰、骨材、土、スサを現場で混ぜるオリジナルの配合で漆喰をつくります。それほど、漆喰や左官仕事にはこだわりを持ち続けてきました。
素材だけではありません。仕上げ方も単なる鏝仕上げではなく、スポンジ引きという方法で表情をつけることで生まれる質感や雰囲気にこだわります。
漆喰は私も大好きな素材です。もちろん自宅でもふんだんに使っています。
今回は、そんな漆喰について、あらためて書いてみたいと思います。
よく言われている漆喰の効果の中には、条件付きで考えたほうがよいものもあるので、その点も正直に書いていこうと思います!
漆喰とは?
漆喰の主成分は、消石灰(水酸化カルシウム)です。伝統的な漆喰では、これに海藻のり(ふのり)や、すさ(麻などの繊維)を加えて練り、左官屋さんが壁に塗って仕上げます。
そもそもの話、その調合を考えるのは左官屋さんの仕事で大事な技術でした。材料はもちろん、その時期の湿度や気温を考慮しながら配合を変えていました。
しかし今では、前述の既調合の左官材料が登場したことで、そのような技術を放棄してしまっているように思わずにいられません(もちろん、左官屋さんが悪い訳ではありません)。本来、左官屋さんというのは自身で左官材料を配合するべきだと思うのです。
漆喰は、乾いて固まるだけでなく、空気中の二酸化炭素と反応してゆっくり硬化していきます。水酸化カルシウムが二酸化炭素を取り込んで、炭酸カルシウムに変わる反応です。炭酸カルシウムは、石灰石や貝殻と同じ成分であり、石灰石を焼いてつくった石灰が、壁の上で元の石に近い成分へ戻っていく、ということになります。
よく珪藻土と比較されますが、漆喰が自分で固まるのに対し、珪藻土は自分で固まらないので接着剤を混ぜる必要があります。ここが珪藻土との大きな違いです。
湿気を吸ったり吐いたりする
漆喰の壁は、空気中の湿気をある程度吸い、乾燥すると吐き出します。
ただ、ここは正直に書いておきたい点です。「漆喰には高い調湿効果がある」と言われることがありますが、漆喰の調湿性能はそこまで期待できるものではありません(私は期待していません)。
漆喰は湿気をまったく吸わないわけではありませんが、「漆喰を塗れば室内の湿度が調整される」と期待しすぎるのは違う、ということです。
ノモトホームズの家では、室内の湿度は全熱交換型の第一種換気とエアコンの除湿でコントロールすることを基本に考えています。漆喰の吸放湿は、その補助になるものと位置づけています。
アルカリ性で、カビや菌が繁殖しにくい
漆喰の主成分である消石灰は、強いアルカリ性を示します。この性質によって、壁の表面でカビや菌が繁殖しにくいとされています。消石灰は殺菌の用途にも使われてきた材料です。ただし、この効果には条件があります。
①時間とともに弱まる
先ほど書いたように、水酸化カルシウムは空気中の二酸化炭素と反応して、弱アルカリ性の炭酸カルシウムに変わっていきます。大学などの研究でも、この中性化によって抗菌性などの効果が低下すること、その速さは室内環境や塗り厚さで変わることが示されています。
②カビが生えないわけではない
漆喰メーカーによると、漆喰の上でもカビは発生することがあり、それは表面に付いたカビ菌が、結露などの水分を得て繁殖するためだと説明しています。
ですので、「漆喰の壁にしたからカビ対策が不要になる」ということではありませんので、ご注意ください。
結露させない断熱・換気計画があったうえで、カビが繁殖しにくい仕上げを選ぶ、という考え方が近いかなと思います。
燃えにくい
漆喰は、建築基準法で「不燃材料」として定められている材料のひとつです。不燃材料を定めた告示には、コンクリートやモルタル、石と並んで「しっくい」が挙げられています。石灰を原料とする無機質の材料なので、それ自体が燃えるものではありません。しかも、漆喰は不燃材料よりも上位の「特定不燃材料」に該当します。
ただし、壁全体の防火性能は、下地の材料や壁の構成で決まります。漆喰を塗ったから家が燃えなくなる、という意味ではなく、「仕上げ材そのものが燃えない」という理解が正確です。室内で出火した場合、漆喰の壁や天井では木材やビニルクロスに比べて燃え広がりにくい、という考えの方が近いです。
質感と、時間の経ち方
性能の話を続けてきましたが、漆喰を使う理由として、性能と同じくらい大切にしているのが質感です。
漆喰は左官屋さんが手仕事で塗って仕上げるので、同じ白い壁でも、塗り方によって表情が変わります。
窓から入る光が壁を照らすと、そのわずかな凹凸が陰影になり、時間帯によって壁の見え方が変わります。これはビニルクロスの様に印刷された工業的な柄にはないものだと感じています。これが漆喰の一番の魅力です。
また、漆喰は無垢材との相性がよいです。化粧柱や現し梁、杉の板張りと、漆喰の壁。木と漆喰という異なる素材の関係をどうつくるかは、設計の中でいつも考えていることのひとつです。漆喰が多すぎても木が多すぎてもダメで、漆喰と木のちょうど良いバランスをいつも考えています。
時間の経ち方も、クロスとは違います。漆喰は空気中の二酸化炭素と反応しながら硬化が進む材料で、汚れが付いたときには部分的にカッターの刃先で削ったり塗り重ねたりして手を入れることができます。
ビニルクロスの様に張り替えることを前提にした仕上げではなく、手を入れながら長く使う仕上げだと考えています。
気をつけたい点
漆喰は良いところばかりではないので、採用を検討される際に知っておいていただきたい点も書いておきます。
①ひび割れ
下地が乾燥収縮により反ったり動いたりすると、表面の漆喰が引っ張られてヒビが入ることがあります。木造住宅では、下地の処理などでリスクを減らす工夫はできますが、ゼロにはできないと考えてください。
②汚れ
種類によっては手垢や飛び散った液体が跡になることがあります。室内の軽い汚れは、消しゴムやサンドペーパー、カッターの刃先で削って落とすことができます。
③コストと工期
左官屋さんの技術と手間がかかるため、クロスに比べて費用も工期もかかります。
漆喰は、見た目の柔らかさや重厚な手触り、マットな質感、漆喰の機能性すべてがとっても良い材料です。初期コストはかかるのですが、一度塗ってしまえば大掛かりなメンテナンスは不要です。自分でも簡単に補修できる、手入れをしながら長く付き合える材料です。
これから家づくりをお考えの方はぜひ、漆喰をご検討いただければと思います!