こんにちは。アーキテクトの福本です。

これまでの番外編では、庭や家具、素材など、どちらかというと情緒的なお話をしてきました。今回は少し視点を変えて、住宅の性能や設備についてお話ししたいと思います。

私は普段から、できるだけ設備に頼りすぎず、建物そのものの工夫で快適さをつくる設計を大切にしています。しかし一方で、現代の住宅において一定以上の断熱性能や気密性能、換気設備が重要であることも事実です。

▲軒を出して日射をコントロールする

今回の自宅でも、省エネ計算や温熱シミュレーションを行いながら計画を進めました。その中で改めて感じたのは、「性能も設備も、突き詰めることよりバランスが大切だ」ということです。

例えば断熱性能は、上げようと思えばどこまでも上げることができます。しかし、ある程度までは費用をかけた分だけ性能も向上する一方で、一定の水準を超えると、追加でコストをかけても性能の伸びは緩やかになっていきます。

住宅の大きさや立地条件によっても変わりますが、場合によっては断熱性能向上のためにかけた費用を光熱費削減で回収するまでに何十年もかかることがあります。また、数値上は性能が向上していても、実際の暮らしの中ではその差をほとんど体感できないこともあります。

もちろん高性能であることを否定するつもりはありません。ただ、性能の数字だけを追い求めるのではなく、費用対効果や実際の住み心地とのバランスを考えることが大切だと考えています。

実際に今回の住宅で省エネ計算を行ったところ、夏場については断熱性能をさらに高めても、追加コストに対する冷房負荷の削減効果はそれほど大きくありませんでした。むしろ影響が大きかったのは、軒の出やシェード、すだれなどによる日射遮蔽です。

夏の日差しは、一度室内に入ってしまうと取り除くために多くのエネルギーが必要になります。そのため、できるだけ建物の外側で遮ることが重要になります。今回の住宅でも、軒の長さや窓の配置を検討しながら、日射をコントロールする設計を行いました。

ただし、軒も長ければ長いほど良いわけではありません。冬の日差しを取り込みにくくなったり、室内が暗くなったりすることもあります。また、新潟という雪国では積雪や構造面への配慮も必要です。ここでもやはり、性能だけではなく全体のバランスが求められます。

換気設備についても同じ考え方です。

今回の住宅ではダクトレスの第一種換気を採用しました。コストパフォーマンスが良く、大掛かりなダクト工事が不要なため、建物の高さを抑えやすいというメリットがあります。一方で、機器の存在感や運転音など、検討すべき点もあります。

▲ガラリで換気設備を目立たなくしています

特に音については以前から気になっていたため、お客様へご提案する前にまず自宅で試してみたいという思いがありました。実際に採用してみると、私自身はほとんど気にならず、十分実用的だと感じています。ただし感じ方には個人差がありますので、こうした部分はカタログや数値だけでは分からないところかもしれません。

▲竣工気密検査の様子

気密性能については特別なことをしたわけではなく、これまでモトホームズで積み重ねてきた施工方法を丁寧に行いました。大工さんや電気屋さんをはじめ、多くの職人さんの協力のおかげで高い気密性能を確保することができました。

性能も設備も、高ければ高いほど良いというものではありません。建物の工夫で解決できることは建物で解決し、設備が得意な部分は設備に任せる。そしてコストや使い勝手も含めて全体のバランスを整えることが、心地よく長く暮らせる家につながるのではないかと思っています。

今回の自宅は、そうした考え方を形にした住まいでもあります。数値だけでは伝わらない空気感や使い心地もありますので、見学会で実際に体感していただければ幸いです。

福本 純也

福本 純也

JUNYA HUKUMOTO

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