本日、「文京町の家」のメンテナンスにお邪魔させていただきました。
オーナー様にはお引き渡し後に造園工事をご依頼いただき、一昨年に造園工事を施工させていただきました。
当時はまだ”若手感”丸出しだった植物や景石たちも、時間を経て敷地と建物に馴染んできたようで、とっても素敵なお庭になっていました。
私が写真を撮らせていただいていると、一緒に来ていただいた大工さんも「お庭素敵ですよね~」と言ってくれて嬉しく思いました。
設計時にかなりこだわったファサード(メインとなる立面、外観)は、緑があることで佇まいがさらに良くなっていました。(内部もこだわりがたくさん詰まったお住まいなのですが、竣工写真撮影のタイミングを逃してしまい、、、施工事例には載ってはいないのです。。。涙)

こちらが当時のブログです↓

北側にある玄関を出ると、目に入ってくるのはこの風景。太陽を背にしてなので逆光にならず(順光と言います)、緑が美しく映えるのも北庭のメリット。直射日光も当たりにくいので涼しく、木陰が気持ち良い場所になります。

この黄土色の腰壁は版築といって伝統的な手法でつくられたもので、木枠の中に土を入れて上から突き固めて施工します。玄関を出た正面に版築を置いたのは、アイストップとするため。道路からの視線も、玄関からの視線も一旦ここでストップします。版築が背景となって植物が引き立つのも良いですね。
山を切り崩した際の「地層」の様に、もっと”層感”が出ている版築もあるのですが、それだと少し恣意的といいますか、人工的な感じになってしまいます。そこで「もっと自然な風合いの方がこのお庭には合うのでは」と造園屋さんからご提案いただき、私もその考えに共感し、今回のこのデザインになっています。
版築は年月を経て少しずつ風化していくものです。それもまた味わいで、魅力の一つではないでしょうか。

道路際、版築の前には景石が据えられています。景石はもともと、山や滝、島に見立てられたものですが、現代の造園においては、空間を引き締め、立体感や奥行き感を演出するものになると個人的には考えています。
植物は風で揺れ、枯れ、落葉もしたりと変化が大きいものですが、一方で石は不動で、変わりません。植物とある意味で相反する部分が、庭全体のバランスを取るためには良いと個人的には思っています。

玄関までのアプローチは、直線にせず、途中でクランクさせて、しかもそれぞれのコンクリート同士の縁(円)を切った(くっつけていない)デザインとしました。もちろん直線の方が歩きやすいかもしれませんが、玄関まで一直線!よりも、途中でクランクさせることで緑が分散し、変化が生まれ、演出性が向上します。
世界的建築家の安藤忠雄さんも、わざと遠回りするアプローチを設計されています。シークエンス(連続性)の変化、場面の変化、期待感を持たせるための設計手法です。個人的にはアプローチと階段は、ドラマチックな方が好きです。

版築とは反対側にも緑のスペースを設けさせていただきました。
敷地を正面から見た時、両側に緑があった方が敷地全体が緑化された感じがして佇まいも良くなります。
ツツジが咲く頃になると、ダークブラウンに塗装した板塀を背景に、花がとても美しく映えます。

こちらは敷地内の高低差を解消するための石積みです。コンクリートブロックで土留めにすることも可能ですが、私たちがつくる木の家は、石積みとの相性が抜群に良いです。
職人さんが一つ一つ、手作業で積んでいったという「時間」を想像できるのも、魅力の一つかもしれません。

「文京町の家」は当初、「ホテルライク」がお好きなご主人様と、「木の家のナチュラルさ」がお好きな奥様のご要望を踏まえ、ある意味で相反するようなイメージを、どちらも両立できるような建築にならないか、というところから設計がスタートしました。
もちろん、室内は樹種やタイルなどの素材の選定、吹抜のつくり方、照明計画、造作風呂などでそれが実現できたように思うのですが、敷地に馴染んだお庭を眺めていると、まさにラグジュアリーホテルの外構の様で、ホテルライクと自然な雰囲気が見事に両立しているように感じました。
何より、今回このような規模の造園工事をご依頼いただきましたオーナー様には、あらためて感謝です。

竹村 泰彦

竹村 泰彦

YASUHIKO TAKEMURA

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