7月最後の日、山北木材加工協同組合へ木材の検品に行ってきました。今回の建物は、1階が店舗、2階が集合住宅となる複合施設です。完成後は内装によって構造材が見えなくなる設計のため、木組みの姿を間近で見られるのは今だけ。この貴重なタイミングに、一本一本の木材や組み上がる状態をしっかり確認してきました。

使用しているのは、地元が誇る山北杉です。木にはそれぞれ異なる表情があり、それらが組み合わさって建物の骨格になっていく様子は、何度見ても心を動かされます。普段は壁や天井の中に隠れてしまう部分ですが、建物をずーと支え続ける大切な役割を担う、まさに「縁の下の力持ち」。完成後には見えなくなるからこそ、この瞬間の姿には特別な価値を感じます。

8月には二期工事の木材検品も予定しています。建設地の事情により上棟時期を調整しながら工事を進めていますが、一つひとつの工程を丁寧に確認し、完成へ向けて着実に歩みを進めています。建物の完成は来春の予定です。どんなお店が入り、地域の皆さんが自然と集い、親しまれる場所になっていくのか、今から楽しみでなりません。山北杉のぬくもりに包まれた建物が、新しい人の流れや暮らしを育む場所になることを願っています。

帰り道は小雨模様でした。ふと海の向こうを見ると、少し霞んで粟島の姿が浮かんでいました。島には「あわしま牧場」があります。おそらく日本で最も海に近い牧場ではないでしょうか。乗馬体験ができるだけでなく、島の子どもたちが馬とのふれあいを通して命の大切さを学ぶ教育の場としても親しまれています。

実は、馬たちの寝床には山北産の木材チップが使われています。山北の森で育った木が海を渡り、島の牧場で馬たちを支えている。そんな地域資源の静かなつながりを思うと、木材は建物になるだけではなく、人や自然、暮らしを結ぶ存在なのだと改めて感じました。

野本 一隆

野本 一隆

KAZUTAKA NOMOTO

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