こんにちは、アーキテクトの福本です。夏休みが終わるというのにいまだ暑い日々が続きますね。

▲軒で日差しを遮る様子
家づくりにおいて、軒の出は「雨や雪から外壁を守る」という役割だけでなく、夏の日射を遮り、室内の温熱環境を整えるためにも重要な要素です。
これまで日射遮蔽を考える際には、「夏至の太陽をどれだけ遮れるか」という視点で寸法を考えてきました。しかし、近年は9月になっても厳しい暑さが続きます。夏至を過ぎると太陽高度は徐々に低くなるため、夏至では軒によって遮ることができていた日射が、秋になると窓から室内へ入りやすくなります。

特に南面に大きな窓を設ける場合、軒の出が少ないと、秋分頃の低くなった太陽からの日射が室内に入り込みやすくなります。日射によって床や壁、家具などが温められると、その熱が室内に蓄積され、外気温が下がった夕方になっても室温が下がりにくくなることがあります。
一方で、軒を深くすることで、秋の低い日射も遮りやすくなります。室内への直射日光を抑えることで、冷房負荷を軽減し、残暑の時期でもより安定した室内環境をつくることができます。また、深い軒は雨が外壁に直接当たることを防ぎ、外壁の劣化や汚れを抑えるというメリットもあります。
ただし、「軒は深ければ深いほど良い」というわけではありません。軒を深くしすぎると、冬に取り込みたい貴重な日射まで遮ってしまう可能性があります。また、構造やコスト、室内の明るさにも影響します。片持ちの庇の場合には雪の荷重にも考慮が必要です。
夏だけを見るのではなく、春・夏・秋・冬、それぞれの太陽の動きと暮らし方を考えて軒の出を考える必要がありそうです。これからの家づくりでは、夏至だけでなく、暑さが残る9月の残暑まで見据えた日射遮蔽が、快適な住まいをつくるための重要なポイントになっていきます。