こんにちは。アーキテクトの福本です。

先日、昨年お引渡しをさせていただいた「牡丹山の家Ⅱ」へ、植栽の追加工事のために伺ってきました。オーナー様、お声がけいただきまして、ありがとうございました。

お引渡しの時に庭がすっかり完成しているのも素敵ですが、実際にそこで暮らしてみて、「ここに緑があると良さそうだな」と気づいた場所にお気に入りの植物を少しずつ足していく…。そんなふうに、時間をかけて住まいと一緒に庭を育てていくことも、とても豊かなことだなと改めて実感しました。

今回の追加工事も、いつもお世話になっている冨井造景さんにご協力いただきました。当日はあいにくの小雨模様だったのですが、植物にとっては恵みの雨です。雨の雫をまとった葉がしっとりと濡れて、緑が一段と鮮やかに映える様子は、晴れの日とはまた違った美しさがありますね。

最近、国内の街路樹に関するニュースを目にしました。日本の街路樹(高木)は2002年のピーク時から20年間でなんと約50万本も減っているとのこと。東京23区だけでも、ここ9年間で東京ドーム256個分もの木陰が消えてしまったというデータもあり、驚きました。

海外の都市では猛暑対策として緑を増やす動きが活発な一方、日本では管理の手間などから木が減ったり、枝葉が広がらない小ぶりな品種に植え替えられたりしているのが現状のようです。ですが、緑が少なくなるとアスファルトが熱を蓄えてしまい、夏のヒートアイランド現象など私たちの暮らしの環境にも大きな影響が出てきてしまいますよね。

今の家づくりは「高気密・高断熱」といった建物の性能ばかりが注目されがちですが、私たちはそれだけで本当に「心地よい家」ができるわけではないと思っています。厳しい新潟の夏の日射を遮ったり、夜の照り返しを和らげてくれたりするのは、実は庭の木々・草木や土の力です。植物の蒸散作用がもたらしてくれる天然の涼やかさは、機械だけに頼らない、五感に響く心地よさを運んでくれます。高性能設備をつけて、断熱をマシマシにして終わり…というのは少し乱暴に感じます。

家を単なる「ハコ」として考えるのではなく、敷地全体、そしてまわりの街並みまで含めて心地よい環境をつくっていくこと。私たちが一軒の家、一本の木を大切に植えていくことが、やがて新潟の美しい風景や環境を守ることにもつながっていくのではないでしょうか。そんな風に、自然素材の木の家と優しく調和する家づくりを、これからも大切にしていきたいなと思います。

福本 純也

福本 純也

JUNYA HUKUMOTO

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