ノモトホームズの家では、外壁や板塀に焼杉板を使うことがあります。
焼杉板は、杉板の表面を焼いて炭化させた板のことで、昔から西日本を中心に外壁材として使われてきました。
表面を焦がすという、一見すると木を傷めているような加工ですが、実はこの炭化した層が板を守る役割を果たしています。

焼杉のつくり方には、伝統的なつくり方である「三角焼き」と、コストを抑え大量生産を可能にした工場生産品である「バーナー焼(機械焼き)」という2種類の方法があります。

「三角焼き」は3枚の杉板を三角形の筒状に組み、内側で火を焚いて煙突のように炎を通し、板の内側の面を一気に焼き上げるやり方です。この方法だと炭化層が厚くなり、表面はひび割れたような独特の表情になります。
一方、バーナーで表面を焼く「バーナー焼き」は、三角焼に比べて炭化層が薄く、加工や施工がしやすいのが特徴です。ノモトホームズでは、イニシャルコストを考え、バーナー焼の焼杉板を使うことが多いです。

炭化層があることで、腐朽や紫外線による劣化、虫の害に強くなると昔から言われてきました。ただ、こうした効果を実際に試験で確かめた研究は意外と少ないようです。
その中で、東京理科大学の研究室が伝統製法の焼杉とバーナー焼きの焼杉、焼いていない無垢材を比較した試験を行っています。結果として、炭化層が厚いものほど紫外線による劣化に強いこと、焼杉は無垢材に比べて腐朽しにくいこと、深く焼いた焼杉は藻による汚れで色が変わりにくいことが示されていました。経験的に言われてきたことが、少しずつ数値でも裏付けられてきているのだと思います。

焼杉は、色合いはもちろん、炭化した杉板の表情、炭化層が剥がれていく経年変化が楽しみな外壁材です。
もちろん良いことばかりではなく、デメリットとしてバーナー焼きの焼杉板は炭化層が薄く、表面の炭がはがれ落ちやすく、触ると手に炭が付きやすい、という点があります。駐車スペースやアプローチ付近など、人が頻繁に触れる場所や、服がこすれるような場所には注意が必要で、他の仕上げに変えたりあらかじめ炭化層を落とした焼杉板に変更したりする方が良いです。こうした特徴を理解した上で、使う場所を選ぶことが大切だと考えています。

私が焼杉板を好きな理由は、性能面だけではありません。黒い外壁は周りの緑や雑木の庭と並んだときに落ち着いた佇まいになり、漆喰の白や木部との対比もきれいに出ます。そして焼杉は、年月とともに炭が少しずつ落ち、表情が変わっていきます。木目プリントの新建材は新しいときが一番きれいで、その後は古びていくだけですが、本物の素材は時間が経つほど味わいが増していくものだと思います。住まいは完成したときがピークではなく、住み続けるほど愛着が深まっていくものであってほしい。焼杉板はその考え方に合った素材のひとつです。

外壁の素材選びで迷われている方は、ぜひお気軽にご相談ください。実際の焼杉板の質感も、見て触って確かめていただければと思います。

竹村 泰彦

竹村 泰彦

YASUHIKO TAKEMURA

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