家づくりの際、ガス衣類乾燥機の「乾太くん(かんたくん)」をご希望いただく建主さまが多いです。共働き世帯が多く、少しでも家事を楽にしようというのが主な理由です。同じ理由で食洗機もご希望いただく場合が多く、住宅設備や家電に家事を代行させることで、家族団欒に時間をまわそうというすごく合理的な理由です。ノモトホームズでも高確率で乾太くんと食洗機は設置させていただいています。
まるで天日干ししたようなフワフワ具合に、抜群の除菌力、乾燥の速さや仕上がりの良さは、私も魅力に感じています。

ただ、いろいろ調べてみると、高気密・高断熱の住宅に設置する場合には知っておいていただきたいデメリットもあります。今回はそのデメリットと対策、あわせてヒートポンプ式乾燥機との比較について書いてみたいと思います。


乾太くんの排気量は、トイレの換気扇何台分?

乾太くんは、ガスで温めた空気をドラムに送り込み、衣類から出た湿気を含んだ空気をファンで屋外へ強制的に排出する仕組みになっています。この排湿ファンの風量は、1時間あたりに約230㎥/hです(機種や地域の電源周波数により前後します)。この数字、いまいちピンと来ないかもしれませんので、トイレの換気扇に換算してみます。

トイレによく使われる換気扇(パイプファン)の有効換気風量は44㎥/h程度です。

230 ÷ 44 ≒ 5.2

つまり、乾太くんを1台動かすと、トイレのパイプファンを約5台同時に回しているのと同じくらいの空気が外に出ていくことになります!

室内が「負圧」になる

排気だけが増えると、出ていった分の空気はどこかから入ってこなければなりません。給気が足りないと、室内の気圧が外より低い「負圧」の状態になります。負圧になると、玄関ドアが重くなったり、他の換気扇の排気が弱くなり、計画換気のバランスが崩れたり、給気口や建物のわずかな隙間から外気が勢いよく入ってくることになります。

ノモトホームズでは、第一種換気システムを導入する場合、差圧式レジスターという負圧になると勝手に外気を取り込む給気口を設けていますので、排気と給気が理論上相殺されます。つまり負圧にはなりにくいのですが、乾太くんが排気するのと同じ量の外気が入ってくることになります。

夏の湿った外気を取り込んでしまう

給気口から入ってくるのは、外の空気そのものです。

全熱交換型の第一種換気(マーベックスの澄家)を採用することが多いですが、全熱交換型は温度に加えて湿度も交換するため、夏場は外気の湿気をなるべく室内に持ち込まないようにすることができます。ところが、乾太くんの排気に見合う分の空気は、熱交換器を通らずに給気口や隙間から直接入ってきます。

以前のブログ「夏をカラッと快適に過ごすために」でも書きましたが、近年は夏場の湿度の高さが問題になっています。どのくらいの水分が入ってくるのか、条件を仮定して計算してみました。

• 外気:30℃・相対湿度70%(絶対湿度 約21g/㎥)

• 室内:26℃・相対湿度50%(絶対湿度 約12g/㎥)

• 差:約9g/㎥

この条件では、室内空気との差から考えると、1時間あたり約2.1kgの水分が室内に持ち込まれるのと同等の水分負荷になります(9g × 230㎥ ≒ 2,070g。気象条件や室内の状態によって変わる試算値です)。

せっかく全熱交換型の換気で湿度をコントロールしていても、乾太くんの運転中はその仕組みを迂回して湿った空気が入ってくる、ということです。なお冬は逆に、冷たく乾いた外気がそのまま入ってくるため、暖房負荷が増えることになります。

それでも、乾太くんは便利!

ここまでデメリットを書いてきましたが、乾燥の速さと仕上がりの良さは、他の方式にはないメリットだと思いますし、私もリフォームで乾太くんを導入したいと考えたこともあります(2階に水回りがあるため配管が難しく、諦めましたが・・・)採用される場合は、次のような対策をセットで考えていただくのがよいと思います。

• 設置条件を確認し、差圧式レジスター等、専用の給気口を設けるなど計画的な給気を検討する

• 夏場は除湿機(またはエアコンの除湿運転)を併用し、取り込んだ湿気を常に取り除く

特に夏場の除湿は、高性能住宅で乾太くんを使う上で必須だと考えています。

ヒートポンプ式乾燥機という選択肢

もうひとつの方法は、ヒートポンプ式の乾燥機にすることです。ヒートポンプ式は、乾燥した空気を循環させながら水分を結露させて回収するため、乾太くんのような屋外への排湿ダクトが基本的に不要です。そのため、排湿による負圧や外気の取り込みの問題は起こりにくくなります。

ただ、乾燥時間や乾燥温度、除菌力等、乾太くんに劣る部分もあるので、乾燥機の性能とどっちを取るかという話になります。このヒートポンプ式乾燥機についてはまたの機会に書いてみたいと思います。

乾太くんにはそういう特性がある、ということを知っていることが大事で、除湿をセットで「家事楽」な暮らしを実現することができます。
これから家づくりをお考えの方は、まずは今の暮らしにはどんなストレスを感じているか考えてみると良いと思います。もし「毎日洗濯物を干すのが苦痛・・・」「室内干しが多く、生乾き臭が気になっている・・・」というストレスが大きい場合は、乾太くんの導入がおすすめです。

竹村 泰彦

竹村 泰彦

YASUHIKO TAKEMURA

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