私の自宅が完成したのは2020年の春。今年で7度目の春を迎えました。
西川沿いの桜は数日前から満開。リビングのコーナー窓からは、美しい桜並木を眺めることができます。


敷地は、34坪という不整形な狭小地。
南側には隣家が迫り、残りの三方を道路に囲まれた条件でした。
毎日欠かさず売地情報をチェックしていた当時、この土地がふと目に留まりました。
最初は「狭すぎる」と見送りそうになったのですが、三方向が道路という特殊な条件が妙に気になり、現地へ足を運んでみたのです。

実際の土地は交通量も少なく、むしろ道幅の広さが開放感に繋がっていました。
何より、西川の対岸に広がる公園や桜並木があることで、視線が遠くまで抜けるこの環境に大きなポテンシャルを感じ、その場で「ここに決めよう」と即決。すぐに不動産会社へ買付申込書を入れ、一週間の期限内にプランを練り上げました。土地選びにおいて、最後はやはり「直感」が重要だと実感した瞬間です。

たった34坪、しかも不整形で家も建ちにくい。南側には隣家があり、採光もいまいち。
一般的には60点とか70点くらいの土地かもしれませんが、実際に家を建ててそこで暮らしてみると、ここで良かったなと、120点くらいの土地に感じています。

当時、土地を伊藤さんと見に行ったあと、近くの喫茶店でどんなプランにするか話し合っていた時に書いたメモです。
リビングからは西川沿いを散歩する人やランニングする人、公園の緑や桜並木も見え、心地よい場所になりました。

経験上、100点満点の土地に出会えることはまずありません。
価格、広さ、道路状況、日当たり、立地。すべての条件を満たす土地を待っている間に、数年が過ぎ、建築費の高騰や家賃の支払いに直面してしまうケースも少なくないのです。
むしろ、その「70点の土地」を100点にも120点にも引き上げていくのが、私たちの仕事です。
一見「難あり」に見える個性や特徴を、その家ならではの「武器」に変える。
建築の力で土地に愛着を生み、「住めば都」以上の価値を生み出していく。それが家づくりの本当の醍醐味であり、建築の魅力だと思っています。
