「住まいをつくる人々」対談

people who make a living
建築家対談

(その1)建築家×ノモトホームズ

第1回目は、建築家 伊藤誠康 氏との対談です。
ノモトホームズは10年以上前から建築家とのコラボレーションで家づくりを行っています。
この取り組みに込めたノモトホームズの想いとは?

対談メンバー

「全ての建物についてコラボすること」が大切。
(ノモトホームズ/野本一隆)

― 何故「全て」なのでしょう?

野本:モデルハウスや予算の潤沢な建物を建築家に依頼する事は、昔から多くの工務店でやられています。
しかし、普段造る建物は依頼しません。
モデルハウスが気にいって決めたのに、実際に出来たものは「何かちがう・・・」
これはよく耳にする話です。
もちろん予算や条件によるところは大きいとは思いますが、質を確保するためには全ての建物でコラボすることが大切だと思います。

伊藤:同じ仕様で造れば同じものが出来るわけではありません。そこが設計の難しさであり面白さでもあるのではないでしょうか。
それとコラボする際に重要なことは「継続」でしょうか。繰り返し関わることで、お互いの考え方も理解できるし、意見を出し合って改良を加えてゆく事が可能です。

野本:当社のモデルハウスも泉幸甫先生の設計ですが、皆さんに気にいっていただいています。しかしこのクオリティを提供しようとしたら、材料や施工は可能でも、設計は自社のみでは難しいと完成当時そう感じました。

― 伊藤さんとコラボすることによるメリットは?

野本:モデルハウス建設時に担当だった伊藤さんと一緒に仕事をしてゆくのは、一番自然で理想的だったと思います。

伊藤:最近ではコラボも珍しくはないですが、13年前に始めた頃は手探り状態でした。
泉と話し合って、自分達が設計するだけではなく「工務店の設計力を上げる」ことを目標にしました。

野本:我々の設計に対する意識は飛躍的に高くなりました。

伊藤:特別なことをする訳ではありません。建主さんとの対話を重ねながら、プランをつくり、全体の構想や細部の納まりを考え、様々なことに具体的に対処してゆく・・・。
普段と同じことをやるだけですが、それを隣で見ていただく中で感じ取ってもらえればと思います。
我々は言ってみれば建築オタクですから、発想やこだわり、引出しの多さは多少なりとも参考にしていただけるかもしれません(笑)

素材の個性や特長を、活かせるよう心がけています。
(建築家/伊藤誠康)

野本:当社は単に自然素材を使うというだけでなく、データに裏付けされた安全で安心できる自然素材と県産や国産の木材での家づくりを実践しています。

伊藤:自然素材を謳う工務店は沢山ありますが、徹底しているところは非常に少ない。例えば合板を一切使わないで造る事がどれだけ大変か(コストも含めて)。造っている人にしかわからないでしょうね。

野本:国の規制は2種類ですが、50数種類の化学物質を測定したチルチン仕様もクリアしています。

伊藤:それらは他社にない強みです。しかし使用できるものは限定され、自然素材は使い方をよく理解しておかないとトラブルになってしまう。
工場で作った建材を取り付けるようにはいきません。素材の特性を理解して活かすことも設計だと思います。

― 国産、特に越後杉を使う意義は?

野本:越後杉は強度が高いんです。越後の過酷な気象条件からきているんでしょうね。
木材は建物になっても生きています。その地域で育った木を使うというのは先人の知恵です。
それと地産地消は環境保護や省エネ、地域循環型社会に対する義務だと考えています。

伊藤:個体差のばらつきや、赤黒く節が多いなどの弱点もありますね。

野本:製材所に任せきりではなく、材料の検品に出向いて確認するようにしています。
材料は適材適所。良いところは活かし、悪いところはどれだけフォローできるかが大事ですね。

「暮らしかた」を設計する
(建築家/伊藤誠康)

伊藤:モデルハウスの工事の時からノモトホームズの施工力の高さは感じていました。元々が公共事業を受注していたゼネコンだったからでしょう。

野本:しかし、施工だけでは建主さんには満足していただけません。工務店に求められているレベルは昔より高くなっている。それに応える必要があります。

伊藤:「こんな暮らしかたをしたい」と、はっきりとしたイメージをお持ちの建主さんが増えました。我々が設計するのは単にカッコイイ建物ではなく、「暮らし」といってもよいのではないでしょうか。

― 施工の際、建主との関わりで意識していることは?

野本:建主さんに伐採体験や、焼杉づくりを実際にしてもらっています。今度は漆喰塗りを企画したいと思っています。そういった家づくりは、家に対して愛着を持っていただけると思います。

伊藤:古くても良い建物というのは、愛着を持って手入れされてきた歴史があります。
メンテナンスしなきゃいけないというと、マイナスのイメージがありますが、使い続けるものは愛着を持って手入れしますよね。
これからは、手入れしやすい材料や仕上げという観点も大切だと思います。

野本:建主さんが参加して家を作る。施工やメンテナンスにも関わる。こういうことを工務店がフォローしてあげるのは大事なことだと考えています。

― 伊藤さんが設計するときにこだわっていることは?

伊藤:こだわりというか、家全体がワンルームのように繋がった空間をイメージしています。個室が沢山あって、廊下で繋がっているような家は嫌いです。
当然ですが「居心地のよさ」や「美しさ」は最も大切に考えています。

野本:どこも繋がっている家ということですね。

伊藤:家族間のプライバシーは最低限でよいと思っています。「誰にも気兼ねなく」というのは、同居人に対する気使いや思いやりを学べなくなる恐れがあるような気がします。
長いように思えても親子が触れ合って生活する時間はすごく短いものです。やがて家族が減って行き、独りになったとしても豊かな暮らしができるような家をつくってゆきたいと思います。